久しぶりに村上菊一郎訳の「パリの憂鬱」(角川文庫)を読んだ。この50篇で構成された小散文詩集の中のボードレール34歳の作品「孤独」に、ラ・ブリュイエールの言葉、「独りでいることのできないという、この大きな不幸!」が引用されている。
この言葉は、エドガー・ポオの小説「群集の人」にも引用されていて、ボードレールはポオを翻訳しながら散文詩を書いていたのが眼に浮かぶようだ。
また、ボードレールには「群集」という作品もあり、これらの作品にポオ、ボードレールに強く影響された萩原朔太郎の「群衆の中に居て」を同時に読めば、まことに味わい深いものが心の世界に現れてくる。
ボードレールは作品「孤独」の中で、さらにパスカルを引用して言う、「われわれの不幸のほとんどすべては、われわれが自分の部屋にとどまっていることができなかったからである」。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。