芦屋芸術の「ローザ・ルクセンブルク読書会」も第三回を迎えた。本日の教材は以下の通りである。
ローザ・ルクセンブルク選集第三巻 現代思潮社 1969年12月25日新装第1刷
(訳者 高橋宏平、野村修、田窪清秀、片岡啓治)
圧倒されて、言葉にならない。そして、名文ばかりである。わかりやすく、美しく、真実を語り続けるアジテーション。ローザの文章に対して、ボクのような小ブルジョアがもの申す資格なんてないだろう。だから、本日の「読書会」は中止。
とりあえず、ローザのような無比の革命哲学家を理解しようとするなら、例えばこの選集第三巻で言えば、少なくとも以下の作品くらいは読まなければならない、ボクは敢えてそれだけ言っておく。すなわち、「貧民収容施設で」、「御用組合の奴隷まつり」、「ミリタリズム、戦争、労働者階級」、これはフランクフルト刑事裁判所でのローザの弁論で、訳者の注によれば一九一三年九月二五日、フランクフルトの集会での彼女のアジテーション、「フランスその他の国々の兄弟に向かって、殺人の武器をふるえ、と命令されたならば、われわれは、はっきり答えようー、いやだ、われわれはそんなことはしない、と」、このローザの反戦のアジテーションが上官に対する不服従を兵士に煽動したという理由で、起訴された。その時の裁判の彼女の弁論。結果は、禁錮一年の判決。若干ローザの考え方を付言すると、第一次世界大戦の足音が聞こえる中、この戦争は膨張する帝国主義国の利害の衝突であって、あくまでドイツやフランス、イギリス、ロシアなどの支配者階級間の戦争である。ところが、実際に殺しあうのは被支配者階級、各国の労働者であり、互いに殺しあう必然性もない、むしろ同じ賃金労働者として社会を支えている仲間・兄弟である。仲間同士が殺し合い、無慚にも死体の山を築き上げる……。話が横道に逸れた。本題にもどって、「判決にたいする回答」、これは禁錮一年で刑務所に収容される前、ローザがフランクフルトでの抗議集会にあらわれて数千人の人々に呼びかけたスバラシイ演説。それから、一九一五年四月、第一次世界大戦の最中、ベルリンのバニム・シュトラーセにある「王立プロシャ女子監獄」内で執筆された「社会民主党の危機」。そして、同じく監獄で書かれた「国際社会民主党の任務に関する指針」。
以上がローザを理解するためボクがすすめる必読文献である。とりわけ、「社会民主党の危機」は必読中の必読書。一九一四年八月三日、ドイツ帝国がロシア帝国に宣戦を布告した時、社会民主党の議員110人全員、修正主義者の党員、労働組合はドイツ帝国主義の支配者階級に屈服して帝国主義戦争を讃美し、ロシアのツアーを打倒せよと、労働者を煽動し、戦場に送った。彼等にも戦争責任が発生したのだ。こうした状況下で獄中で書かれたのが「社会民主党の危機」である。この論文は、監獄からひそかに運び出され、一九一五年四月、ローザの序文をつけて「インテルナチオナーレ」に発表され、即座に発禁処分となっている。弁証法的・史的唯物論によって第一次世界大戦が分析され、この戦争でドイツが勝利しようが、あるいは敗戦しようが、終戦後、帝国主義国家間で第一次世界大戦の前よりも利害対立が深刻となり、さらに大きな戦争が勃発すると分析されている。ローザの予言は的中した。第二次世界大戦という巨大な無間地獄がこの世に出現した。読者はローザの鋭利な現状分析とその展開を学んで、驚嘆せざるを得ないだろう。
いずれにしても、最初に宣言したとおり、早々に、この辺りで「第三回ローザ・ルクセンブルク読書会」を閉会する。小市民のボクにとって、キツイ、トテモキツイ読書体験だった。それじゃあ、ミナサマ、「第四回ローザ・ルクセンブルク読書会」まで、サラバ。
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