アンネ・フランクの「アンネの童話」

 この本を、十四歳くらいの少女が書いたなんて、誰も信じないと、ボクは思う。その上、ナチスドイツが人間とは認めないユダヤ人を収容所に送り、労働能力のある人間は強制労働、その能力のない人間、例えば老人や子供や病人や強制労働をした果てに衰弱した人々には食事代ももったいないのでガス室で大量虐殺していた時代に、秘密警察の手から逃れて、「アンネの日記」に詳しく書かれているとおり、アムステルダムの「隠れ家」に潜行した生活を送っている時、少女のペンからこの作品は成立した。

 「アンネの童話」 アンネ・フランク著 中川季枝子訳 文春文庫 1994年4月10日第1刷

 この本の巻末には、訳者の丁寧な解説も付いている。また、一読すれば、悪魔以上に悪魔的なナチスドイツのユダヤ人弾圧の下で、自由に生きる喜びを一心に求めた少女の夢と希望に覚えず胸を打たれるに違いあるまい。

 アンネ・フランクは、「自由に生きる喜び」を、人生の晩年を迎えたボクに、教えてくれた。

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