この詩集の書名は「生きっちょいさっさ」となっている。この言葉は著者の生活する都城地域の方言で、「生きている間」、と言う意味である(本書57頁参照)。
「詩集生きっちょいさっさ」 くらやまこういち著 本多企画 2017年4月10日発行
確かにこの詩集の中に「生きっちょいさっさ」という一篇の詩があり、集中もっともスバラシイ詩のひとつだと言っていい(本書54頁~57頁)。だが、また、この詩集全体、序詩と三章四十三篇の詩群が「生きっちょいさっさ」、つまり著者の「生きている間」を表現している。遙か幼年時代から現在までに出会った大切な命……家族やご近所の人や友人との折節、障害者の仲間との交流、あるいは父や母が耕し続けた田畑から学んだ四季折々のさまざまな野菜への愛情、これまでめぐり逢った命への感謝を具象的な言葉で紡ぎ上げた詩集、そういっても過言ではあるまい。
ここでは、霧島に向かった大地にしっかり根ざした著者の等身大の言葉が静かに語られている。一篇一篇、優れた詩を読み進みながら、ぜひ詩集全体としての「生きっちょいさっさ」を味わって欲しい。
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