この詩誌を読んでいて、まず気づくのは、登場する七人の詩人みんなに共通する言葉への姿勢、何の気負いもなく自然体でペンを進めていることだ。といって、自然体と言っても、さまざまな工夫をこらしているのは言うまでもないが。おそらく七人の詩人それぞれ、長い詩歴を持って苦闘していると推察した。
「座」67号 発行者 座の会 2020年10月1日発行
この詩誌「座」67号を送ってくれた「座の会」同人の津田文子とは、昔々、ある詩のグループでご一緒した。その頃読んだ彼女の詩風と、今回発表された二篇、「後期高齢者になってしまった」、「手作りのメガネケース」も、素材はまったく違っても、その根元は変わらない。それはすなわち、この世の片隅で生死する小さな喜びや悲しみをしっかりした言葉で、多少哀感を込めて、白紙の上に刻みつけていく作業だった。ただ、歳月と共に、より正確な作品へと仕上がってきたのだった。私は想像するのだが、彼女の青春時代に全身いっぱい培われた反骨精神にじっと支えられながら。
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