
野原に一本の黒くて長い柱が立っていた
ちょうど画用紙のまんなかを
上から下まで太い墨の線を引いたみたいに
空といちめんの草が生い茂る風景を二分していた
わたくしは昔からそんな草むらで暮らしている
草の実を食べたり 昆虫を食べたりして暮らしている
しばしば健康のために 爬虫類や哺乳類も食べている
ただ 炎天下
草いきれに耐えかねる日には
ムックリ起きあがり
きまってわたくしは ヒンヤリした黒くて長い柱にしがみついている
だが ときに それは生物のように激しく震えた
たそがれ 柱の左側の夕焼け空から塵や埃がパラパラ散って
しがみついているわたくしの左肩に降りつもった 赤く染まっていた
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