少年の時に見学した工場に
いま わたくしは立っている
おとうさんに手を引かれて
ここで毎日仕事してるんだよ
初めて見学したソーセージ工場
わたくしはまた仕事の都合でここに来た
あの時の建物の面影は
破片すら残されていない
当たり前じゃないか ずいぶん昔の話じゃないか
もうすっかり様子は変わってしまった
ただ 次から次へと生産される
桃色のソーセージだけは
いやに記憶に焼きついている
終了のベルが鳴った
今では同僚たちといっしょに笑いながら自社製ソーセージをかじり
仕事の喜びと
それにともなう苦しみをわたくしたちは語りあい
わかちあって
毎日 家路を急いでいる
おとうさん!
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