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後藤光治さんから詩誌が送られてきた。彼の個人詩誌だが、そして彼ひとりで執筆しているのだが、いつも私は楽しみにしている。ひとりでよくここまでやっているなあ、教えられ、また、励みにもなっている。私も「芦屋芸術」を持続しなければ、そんな鞭をこの詩誌から打たれている。
後藤光治個人詩誌「アビラ」16号 編集発行/後藤光治 2023年12月1日発行
一気に読んでしまった。
まず、巻頭に「ロラン語録」が掲げられている。次に著者の詩作品が六篇。このたびは、そのうちの二篇、「点」と「仮象」という宇宙論や量子論や脳論などを駆使しながら作品を構成している。以前から、著者にはそういった傾向の文章をよくしていたが、詩作品にまで波及してきたのだろう。どこまでやっていけるか、今後の展開を期待する。
つぎに、「ロマン・ロラン断章(十六)」と「清水茂断章」。毎号、息の長い評論が持続されている。余程深く著者の心に食い込んでいる作家なのだろう。私にはそこまで影響された作家はいないので、いつも感心しながら読んでいる。
「詩のいずみ」の今回の主題は、<「荒地」を巡って(1)>。主にエリオットと鮎川信夫を中心に論じている。私事になるが、十代の時に読んだ詩作品では「荒地」で紹介されていたものが多々あった。特に牧野虚太郎や高橋宗近の作品は私の心に強い痕跡を残している。著者は次号からさらに「荒地」を論じていくのだろう。
最後は、「鬼の洗濯板」。主題は、「学校の現実―教育再生への視座―」。著者は中学校の理科の教員として約三十年奉職している。その現場経験を中核にして、現代教育への批判を具体的に語っている。著者の文章を読んでいると、根底から見れば、現代詩を「荒地」からもう一度あぶりだす作業とどこかでつながっていく気持ちを私は覚えた。
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