わたくしはひとりだった。
ここではさまざまな人が働いているのだとばかり思っていた。しかし、それは虚妄だった。
音もなかった。別に眠っているわけではない。目覚めているのだが。言葉さえ聞こえなかった。無音で、無言だった。むしろ極論すればこう言ってよかった。自分で発語しない限り、いかなる言葉もこの世に存在しないことがわかったと。そうなんだ。やっとわかったんだ。言葉は自分自身だった。わたくしそのものだった。なぜもっと早く気づかなかったのか。無音で無言の日々、もはやわたくしはこの世に存在していないのだった。
ひとりならば あすはなかった
きょうだけが つるつる去っていく
そのうえ終日 無音で 無言ならば
いかんせん ホラ わたくしは消えてゆく人だった
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