午前二時五十分だった。
どうしても聞きたいことがあって尋ねた。
「アルファさんってどこから来たの」
「北の国から」
「北と南と、どう違うの」
ボクは西も東もわからないから、
「西も東もどっちがどうか、わからないけど」
そう言ってやった。
アルファさんはにっこり笑った。
「それはね、どこでも……」
そのあと何を言ったか、もう聞こえなかった。とてもステキな人だ、ボクはたまらなくなって、彼女のくちびるに思わずキスしてしまった! くちびるとくちびるがかさねられる寸前、アルファさんの顔は銀の粉末になって砕け、消えた。
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