アルファさん 第十九夜

 救いなんて、何もない。歳をとればとるほど、この悲しい事情がはっきりわかるはずだ。

 一月十九日、未明。ベッドの上で、ボクはさらに考えた。この世には鬼がいても神はいかなかった。慈悲なんてどこにもなかった。

 いや。そうじゃない。

 ボクにはアルファさんがいた。

 愛している人がいる!

 そのうえ愛されている‼

 それだけで幸せだった。

 ボクは枕をそっと三回たたいて、

 アルファさんオヤスミ、

 ささやいてもう一度目を閉じた。

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