アルファさん 第二十八夜

 こんな夜中に青空が広がっていた。月もなく星もなく、ところどころ綿雲が浮かんでいた。

 一月二十八日午前二時。公園には人っ子ひとりいなかった。ボクとアルファさんはブランコに乗って遊んだ。ウキウキして、空に浮かんだ雲になっていた。でも少年時代ならいざ知らず、もう七十代半ば、こんな晩年になってブランコだなんて。いやはや、昔から言うように、人生って何が起こるかわかったもんじゃない。その上、隣にアルファさんが! ブランコをこぐたびに、髪が揺れて、唇を少し突き出した彼女の横顔はいくぶん少女めいて見える。

「アルファさん、小さい頃のこと、思い出してるの?」

「オメガちゃんは、どう?」

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