オメガちゃん。あの世からこの世にやってこれるのは、三十一日間だけなの。ごめんね。ずっといるからって、嘘ついて。でも、愛しあった奥さんもワンチャンもネコチャンもみんな喪って半ば狂ってしまったあなたの姿をあの世から見ていて、トテモステキな人だ、いてもたってもいられず、わたし、イケなかったのかもしれない。あなたをもっと深く傷つけてしまったのかもしれないわ。
一月三十一日未明。彼女は寝室のドアの前に立っていた。いつもあんなにやさしい笑顔をしていたのに、いまはうつむいて目を閉じていた。
オメガはアルファさんと、お別れのキスをした。唇と唇をかさねあわせたまま、しばらく抱きしめあっていた。彼女の耳もとに愛の言葉をささやこうとして、ふたりの唇が離れた瞬間、アルファさんは消えた。
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