近所のスーパーで食材を買い、夕方五時過ぎ、散歩に出た。
昼間の散歩は相当の暑さで過酷だった。土曜日だというのにほとんど人気はなかった。けれど、今は風も出て涼しくなっていた。散歩姿もチラホラ。
芦屋浜から総合公園に入るとき、まわりに誰もいないのに、声が聞こえた。そればかりではなかった。わたくしのことを「とんちゃん」と呼びかけてくるのは、きっと妻に違いなかった。彼女はいつもわたくしのことをとんちゃんと言う。けれどおかしな話ではないか。彼女は十年前にもうこの世を去っているのだが。
こんな声が聞こえたのだった。
とんちゃん おいで
あの世まで
*写真は、午後五時半ごろ、総合公園の西南端付近から六甲山を撮った。樹木の間からうっすら頭を出している。
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