芦屋芸術は 、たがいに共感できる世界を言葉で表現することを、めざしています。

　ユーチューブで見た女性がスナックのカウンター席の右隣に座っていた

「あなたの名前　なんていうの

「TON

「いい名前ね

「あなたは

「ユーチューブのYOUと呼んで

「YOUか

「どう　TONちゃん　あたしがユーチューブで歌ってた歌　デュエットしない

「なんて歌

「うん　＜忘れても好きな人＞

「そんな歌　YOU　ボク知らない

「あたしが教えてあげる　安心しな　さあ　立って　あたしの左肩をあなたの左手で抱きしめて　ぎゅっとはダメよ　優しく　そっと　ね

「……

「あたしについて歌うのよ　いい　あなたの番が来たら　あなたの右腰をあたしの右手でキュッと引き寄せてあたしの右腰があなたの左腰をツンと押すの　それが合図よ

「……

「TONちゃん　あたしの言うことなんでも聞くのよ　いい子しててね　お利口さん　いい子ちゃん

「……

「だから　ねえ　あした　火曜日　食事に連れてってね　でも　居酒屋はイヤ　わかるでしょ　あたし　イタリア料理が好きなの　シャブリの白ワインならボトル二本くらいは　平気　三本でも飲める　TONちゃんのためならもっともっと飲んで　羽目外して　酔っぱらってあげる　恥ずかしいけど　いっぱい乱れてあげる　いっぱい

「……

「いい子ちゃんしてるなら　いいよ　いくらでも　デュエットしてあげるわね　もっと強く抱いて

「ありがとう　YOU　ボク　いい子ちゃんしてるから