カテゴリー:山下徹の詩
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親水公園にて その42
生死は表裏一体だった 別れたままで 生きることだった 数日前 あの女と出会った 何も言えなかった 黙って立っていた 崩れていくのが わかった *きょうは事務所を早く…詳細を見る -
親水公園にて その41
私をいちばん記憶していたのは 四十三年間 同じ屋根の下で暮らした妻だった 八年前 彼女は死んだ その時から 私の記憶の大半は死んでしまった 彼女が死ぬということは 私を誰よりも記憶している…詳細を見る -
親水公園にて その40
死別したあの人は 記憶だった 記憶だけで 生きていた だから 記憶しているこのわたくしが死ねば あの人はもうどこにもいない *親水西公園の東端。正午。池のほとりに赤い彼岸花がい…詳細を見る -
親水公園にて その39
毎日 聞いたり 読んだりしている言葉は 生きている人の「こころ」だった 死んでいる人は しゃべったり 書いたりしなかった 言葉はいらなかった 静かに 笑みを浮かべていた…詳細を見る -
親水公園にて その37
きのうの未明、こんな夢を見た。 妻が帰ってきて、立ったまま、開口一番、「水泳大会に参加して、疲れたわ」、うれしそうな顔をしている。確かに彼女は高校時代水泳部で、泳ぐことがトテモ好きだった。 「友達が来る…詳細を見る -
親水公園にて その36
午前二時過ぎ、まどろみの中で脳裏に言葉が浮かんでいた。ベッドから身を起こし、忘れないうちにそれをノートに書き写した。 あなたと 死別して 八年がたって わかったことが ひとつ…詳細を見る