
去年の七月の末、物故の詩人冨永滋の妻冨永多津子氏から一冊の詩集をご恵贈いただいた。早速その年の八月、一読した。だが、「芦屋芸術」のブログでご紹介することは出来ずにいた。それというのも、この詩人は私と同じ年に生まれ、二〇一五年、妻を残して六十六歳でこの世を去っている。私とは真逆ではあるが、私の場合、二〇一四年、妻に六十六歳で先立たれた。こんな個人的な事情を作品に持ち込むことはダメだ、そうはいっても、まったく同じ世代の十代から詩を書いてきた男同志として、なぜかブログに紹介するのが、ためらわれたのだった。
「未完の愛の詩集」 冨永滋著 風詠社 2023年1月15日発行
著者は熊本市に生まれ、熊本高校出身である。熊校42会(熊本高校昭和42年卒同窓会)のホームページ2023年1月の記事によれば、この詩集は夭折した詩人内田英夫、彼もまた熊本高校の著者の同窓ではあるが、二人で作った「珈琲」という同人誌に発表した作品を底本にしている。高校時代から二十歳頃までの作品だった。作品を捨てるに惜しく、遺された妻の強い追想とその愛情からこの世に再生した詩集だった。著者の作品だけではなく、拾遺として、内田英夫の作品も発表されている。
詩集には、著者の「多津子」という作品も収録されていて、また、おそらく、内田英夫の作品にも出ている〇〇〇は多津子という名前ではないかと私は推測するのだが、そういった青春の一回的・独自的な愛の表現にも出会い、私はこの詩集の論評を控えようと思うのだった。きょう、やっと再読してこの文章をしたためた次第だった。最後に一言。この詩集の題「未完の愛の詩集」は内田英夫の作品「未完の愛の詩」から取られているのだろう。
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