
こんな長編の幻想小説を読んだ。
「死者の誘い」 W・デ・ラ・メア著 田中西二郎訳 創元推理文庫 1984年7月20日初版
著者はイギリスの幻想怪奇小説家。詩人。児童文学作家。日本では西条八十や佐藤春夫、江戸川乱歩などが親しんでいる。
この作品は1910年に発表されている。所謂幻想小説といっていいが、サバティエという200年前の死者に乗り移られ、顔が死者の顔に変貌した主人公ローフォードの魂の物語である。言うまでもなく、魂もまた、主人公と死者との二重人格者として生活を送らなければならなかった。家族、友人、また、そこに現れるハーバート兄妹という生者とも言えない死者とも言えない不思議な友人。彼らとの間に繰り広げられる会話を中心としたさまざまな葛藤と宥和。
従って、主題は確かに幻想小説ではあるが、内容は、プラトンの対話編ではないが、他者との会話、そして、自分自身との会話を通して、死者を超えて本来の自分へと帰っていく主人公の姿を描いている。ちなみに、「死者の誘い」という書名で紹介されているが、原題は「回帰」(リターン)だった。
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