
にょきにょき生えてきた。そんな話を昔子宮ガン末期の祖母から聞いた。あの頃は、まだ若かった。おばあちゃん、馬鹿な、鼻から信じなかった。いや、頭から否定した。祖母は十日後にこの世を去った。
しかしそれは事実だった。いやはや。音がする。にょきにょき。確かに、いちめん、生えてきた。けっしてキノコではない。というのも、薄い楕円状の長径五センチ大の焦げ茶系物体だが、皮膚を破って生えてきた後、ツルツルうごめき始めたのだった。少なくとも数百匹、頭から爪先まで覆っていた。血にまみれて。
やはり若い頃、こんな話も聞いていたが、てんで相手にしなかった。あんたもまだお若いから腹の底では笑っているのだろう。バカげたおっさん、この死にぞこない。
だから先程の話にちょっとだけ付け加えてオシマイにしておこう。つまり、なんだな、楕円形物体が這いずり回っているけれど、さらに無数の小さな蟹状生命体が体内から出てきた。いずれ全身をちょきちょきしてくるのかもしれない。
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