YOUはここにいる 第三章

 こんな事件があった。

 スナック<ヨコハマ>は、カウンター席とボックス席の間に四メートルくらいの空間があり、静かなチークダンス程度で遊ぶことが出来る。そしてその奥には小さなステージがあり、歌を一人で、時にはデュエットで肩を寄せ合い会員たちは楽しんでいる。照明は一時間間隔で、暗い紅、ブルー、紫、緑へと変化していく。

 ステージの背後は、半円形の深紅の垂れ幕で覆われている。その奥には別室があって、常時施錠されている。この別室には金庫が備えられており、入会金や会費が保管されていた。会員も増え、かなりの金額が保管されていただろう。鍵は二本、YOUと合鍵をキタ君が管理していた。この会が発足して二年目の秋、九月を迎えたばかりだった。

(註)ここまで書いて、突然、著者のペンは止まった。その後、YOUはどうなったのか、不明のままこの物語は中断されることになる。もちろんあの事件はキタ君の犯罪に違いないと想像されるのだが。しかし今は警察の捜査にまかせる以外にはあるまい。YOUのその後は読者それぞれのご想像におまかせしたい。また、事件が解決しても、おそらく著者のペンがもう一度YOUの方へ走ることはよもやあるまい。

 従って、今後、著者は一切YOUに言及しないであろう。YOUの物語は終わったのだ。

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