アンリ・ド・レニエの「碧玉の杖」を読む。

 フランスの十九世紀末の作品を読もうと思って、この本を手にした。

 「碧玉の杖」 アンリ・ド・レニエ著 志村信英訳 国書刊行会 1984年5月20日初版第一刷

 著者は1864年に生まれ、1936年に没している。この作品は1897年に出版されているので、著者が三十歳過ぎまでに書いた短篇の集成だろう。確かに世紀末小説ではあるが、その後、二十世紀になってから著者はさらに数々の作品を発表している。

 この作品は、現実と幻想を交錯させながら極めて独自な美意識によって描かれている。城や庭園、池や森、錯綜した道、登場する王侯や侯爵たち、そういったさまざまな場所とそこに登場する人々の光と影を緻密に織り上げて、いつのまにか神話めいた世界へ踏み迷ってしまうことさえあるだろう。著者は貴族の末裔でもあり、世紀末の没落する映像を巧みに描く本能を祖先から授かっているのだろうか。

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