収穫物

 滑り落ちていくのではないだろうか。これといった理由もわからないけれど。だったら、誰かが仕組んだ罠かもしれないが。それならそれなりに理由があるはずだ。罠を仕掛けるなら、それなりの理由が。それは特定できるのだろうか。いや。そうじゃない。早く特定しなければ、こうして滑り落ちた果て、どん底で全身炸裂、木っ端みじんに分解するに違いない。肌色の粘液状に。べっちゃり、だ。

 深夜、Mは息をひそめていた。ひそめたまま、懐中電灯を手に、天井裏をさまよい続けた。いったい誰だ、何ものだ。どんな罠だ。確かに、これまでの調査の結果、彼は、ゴキブリの死骸を五匹、ネズミの白骨体を二体、人体も入るくらい大きいビニール袋に収穫していた。

 けれど、彼はまだ気づいていなかった。既に彼の首から上だけは滑り落ちていた。ビニール袋の中に。

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