「パニッツァ全集 Ⅰ」を読む。

 現実と妄想がまだら模様を描いて作品が完成されていく。

 そんな作品が好き、こうした傾向の人にはこの本をお勧めする。

 「パニッツァ全集 Ⅰ」 オスカル・パニッツァ著 種村季弘訳 筑摩書房 1991年7月25日初版第一刷

 収録されているのは、「黄昏篇、四つの物語」(1890年)の短編小説全篇。すなわち、「蠟人形館」、「「留の山」、「人間工場」、「月物語」、以上四篇。短編といっても、ほとんど中編小説。それから、「タヴィストック・スクェアの犯罪」、「自伝的スケッチ」、「自伝」。

 私好みの作家。確かにポーやホフマンの匂いが漂ってはいるが、そしてそれはパニッツァ自身の本能だといっても過言ではないだろうが、そのうえ、奇妙な宗教・政治批判のため、ほとんどの作品が発禁処分。晩年の十六年間は精神病院の独房で暮らしている。また、多くの作品が散逸、あるいは、処分されている。

 どうだろう。あなたも一度読んでみたら。今どき、私みたいに日本で現代詩めいた生ぬるい甘ったるい作品なんて書いている人なら、殴り倒されるかも。でも、いい作品が書きたかったら、少しくらい殴られてみたら。どう?

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