ボクは「生身」が大好き

 今夜もダイニングの片隅で正座して、腕組みして、首をかしげていた。つまり、ボクにはよくわからないが、どうだろう、紙に書いた文字や絵、ネットに浮かんだ画面、そこにはブログに投稿した自作の文章や絵が並んでいるのだが、こんなの、ほんとに大切なものなの? 自分で書いておきながら、一時間もすれば忘れてしまうのに。すっかり忘れて、シャワーを浴びたり、皿に盛られたペペロンチーノにフォークを突き刺してみたり、果ては、チョコレートをかじりながらウイスキーに酔いつぶれたりして。

 文字や絵の堆積物。妄想の汚泥。それを人は詩と呼んだり小説と言ってみたりするのだけれど。そんなガラクタなんて、いったい何だというんだ。ボクにいわせりゃ、そんなガラクタ、ボクの貧弱な頭から発生した妄想という汚物が詰まった便器。早くスイッチを押して水洗しなきゃあ。すべてを水で洗い流して、さっぱりして、狭い町だが、阪神芦屋駅界隈でいつものように夜遊びに身を沈めて。何もかも、体ごと溺れてゆく、酒に、首すじ辺りまで……君ならどう思う?

 ついつい、ウダウダしてしまったけれど。オイ。ボクちゃんよ。もうこれ以上、ツベコベ言うなって、そう叱ってやった。結局、それよりか、文字や絵なんてもてあそぶよりか、もう一度、帰って来てくれ。君の生身の体が一番だった。君さえいりゃ、詩や小説、こんな妄想劇からオサラバさ。そじゃないか。そ、そんなこと、最初から分かってたんじゃないかい。十年がかりで原稿用紙二千枚以上も君のことを書いてきたけれど。毎日ブログにいろんな作品を投稿してネットに浮かんだ画面を見つめて来たんだけれど。みんな、贋金。すぐにメッキが剝がれ落ちたりして。……だったら。わかってくれよ。あれだよ、この世は生身の体が一番だよ。君の生身が……

 ちょっ、ちょっと待て。ま、ま、また、頭の中にこんな文字が浮かんできやがった。

  君の人差指だけでもいいから

  今すぐ欲しい

  出来たら その親指 唇

 ちきしょう! またまた妄想劇が始まりやがった‼

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