YOUはここにいる 第二章

  第二章

 平屋建ての内部はフローリングの一間。部屋の中央辺りの床に取り付けられた取っ手を引き上げると、地下室への階段が現れた。

 三年ぶりの再会だった。

「お久しぶりね。TON、少し、やせた?

 もうわかったでしょ。愛は人を孤独にするものよ。だって、ひとりぼっちのあなたが、ただひとりだけのあの人を、ひょっとして、それはあたし、YOUだったのかもしれないけど、夢中に愛してしまったから。誰も助けてくれないわ。究極のひとりぼっち。そうよ、あの人から愛してもらう以外に、決してあなたの孤独はいやされないわ。

「YOU、もうわざとらしい、遠回しなおしゃべりは、よそう。あの人って、YOU、もちろん、君のことじゃないか。君が三年間、雲隠れしてしまって、確かに君が言う通り、ボクは究極の孤独地獄へ転落してしまったさ。

 その上、君は、ワンちゃんだけが生きがいなの、ふたりのワンちゃんだけを愛して、ふたりが亡くなれば、あたし死んでもいいの。この世になんの未練もないの。君の唇はこんな悲しい言葉ばかりボクの耳もとで演奏してる。君の中にはボクなんてどこにもいない。指一本、握りしめてもくれない。ふたりのワンちゃんがいるばかり。

「……

「三年間、ボクは君を想い続けた。そして、やっと、こんなふうに、思えるまでに成長したよ。

 いいかい。YOU。君がワンちゃんだけを愛してもいい。いや、他の男と愛しあっても構わない。だけど、ただ、お願い、ボクと会っているときだけはこのボクだけを愛してくれないか。どうか、YOU、ボクの最後の願いだけはかなえてもらえないか

「TON、わかって。どうぞわかってください。ワンちゃんだけしか愛せないって、ステキなことよ。YOU、ニンゲンは誰も好きになれない。今まで出会った人は、みんな好きになれなかった。だから、これだけはわかって。TONちゃん、突然あなたが好きになってしまう、そんな可能性が、奇跡が、あるかもしれない。きっと、よ、あたし、きっと、そうよ、そんな奇跡が、もしかして、ここは、秘密の<ヨコハマ>、きっとよ、きっと、あるじゃん。

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