コリアの「炎のなかの絵」を読む。

 こんな短編集を読んだ。私の二十歳頃に買った本だが。

 「炎のなかの絵」 ジョン・コリア著 村上啓夫訳 早川書房「異色作家短編集第6巻」 昭和44年2月28日再販発行

 この本には二十篇の短編小説が収められている。作者のジョン・コリアは、今ではどうか知らないが、私の若い頃にはそれなりのマニアには注目されていた作家の一人だった。

 とにかく、小説や詩に人間の生きる意味やそれに類する事柄を見出したい、そんな読者には不向きな作家だった。奇想奇天烈な世界を言葉で織りあげる作家だった。

 単なる私見であって、非常におおまかな話になってしまって恐縮するが、こう言っておこう。現在、特別に恵まれた人ではなく、私のようなどこにでもいる普通の人間を基本的に支えているのは、労働と遊びの二つだろう。また、その労働は賃金労働と家事労働の二つになるだろう。ジョン・コリアの作品は、この内、遊びに属する。作品は幻想や怪奇や奇妙な悲喜劇を短い文章で巧みに織りあげてくれる、そんな貴重な職人技を持った作家だった。

 むしろ、こう言っていいのかもしれない。私のようないい加減な生活を送っている愚人向けの作品に違いないと。真面目な人はこの本を閉じていいと思う。私と同類は、ぜひ、ご一読を。

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