
私の友人に津田文子という詩人がいて、詩誌「座」を送っていただくことがある。その詩誌で以前からこの詩人の作品には親しんできた。今回、これまで「座」に発表してきた十年間の作品集成としてこんな詩集を出版された。
「昭和もしくは過ぎゆく客」 中西弘貴著 編集工房ノア 2025年8月1日発行
この詩集は、<時>、<人>、<場>というタイトルで三部構成されていて、三十篇の詩作品が収録されている。
1942年一月生まれの著者は、言うまでもなく三歳の時、日本の敗戦の時を迎え、戦後の昭和を生き抜いて現在に至っている。作品を読み続けていくにつれ、著者の苛酷な戦後体験が読者の心にひっそり迫って来るだろう。著者の肉体が受容し、そこから浮かび上がり、言葉として刻まれた「昭和」という時空(時と場)。また、その中でかかわりあった人々、なかんずく祖母、母、久松という芸妓、弟、こうした人々と織りなした言葉のさまざまなつづれ織り。
もうここにはない、決して再び出会うこともない、過ぎ去った昭和という著者固有の時代像への祈りと別れの言葉の集成だった。
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