
何度も確かめていた。だってここ数日、財布の中のお札が全部白紙に変わってしまうから。朝起きて、出勤する際、覗いてみたら全部白紙。タンス預金から差し替えて会社に出かけるが、こんなことを続けていたらもうすぐ貯金は尽きてしまう。一文無しになってしまう。相談するにも友達はいないし。警察に行こうか。信じてもらえるだろうか、毎朝財布を覗くと、全部白紙に変わってるなんて。こんなの事件ではなくて、君の妄想に過ぎんじゃないかって、門前払いされるに違いない。いや、信じてください。おまわりさん、けっして妄想ではありません。ごらんください。ホラ、財布は白紙だらけ。オイ、君、だったら、犯人は誰だ! 思い当たる節はないのか‼ 永遠に繰り返される自問自答。Mは悩ましい日々を送らなければならなかった。
半年後、貯金が尽きた。退職金でマンションのローンを返済した。だが残金があったため、やむなく自己破産をかけた。とうとう無一文になってしまった。十代から毎日飲み続けていた酒も飲めなくなった。禁断症状で夜もろくに眠れなくなって、やっと目が覚めた。犯人は分かった。自首してくれる日を、Mは指折り数えている。橋の下で。
狂うほど好きだった、リカちゃん……
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