芦屋の夜の片隅で

 やはり古い歌ばかり唄っていた。まあ、古いといっても、戦後の昭和の歌、私と同時代の歌だが。

 いつも金曜日の夜に通っているスナックで、ママの友達が京都から来ていて、私の左隣のカウンター席に座った。私より年上の女(ひと)だが、意気投合しておしゃべりが尽きなかった。そればかりか、金曜日にしては客が少なかったので、ふたりで紅白歌合戦に興じた。いつになく私は夢中になって歌っていた、たくさん。こんなに羽目を外すなんて。

 桂銀淑の「悲しみの訪問者」、「夢おんな」、「酔いどれて」、「アモーレ/激しく愛して」、「すずめの涙」、「大阪暮色」、丸山圭子の「どうぞこのまま」、秋元順子の「愛のままで」、西島三重子の「池上線」、記憶に残っているだけでもこんなに歌っていた。女性の歌ばっかし。何度かデュエットもした。

 それに対抗して京都の女(ひと)、仮にN子さんにしておくが、彼女はほとんど男性の歌。一曲だけ私にサービスして桂銀淑の「ベサメムーチョ」を歌ってくれたが。

 N子さんはかなり幅広く昭和の歌を熟知している。それに低声で、ハスキーで、魅力的な歌があふれてくる。聞けば以前京都でスナックを経営していたとか。やっぱし。

 お店がクローズするまで二人で楽しんでいた。帰宅したのは午前零時を過ぎていた。

 朝七時過ぎから家事を始めたが、ちょっと気になってダイニングのカーテンの隙間からテラスを覗いた。手摺りにスズメたちが止まって、朝ごはんを待っている。

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 テラスから庭の食卓を見下ろすと、やはりここにも彼等が待っている。

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 私は鳥のご飯の袋を抱えて庭へ出た。

*写真は、庭の食卓にご飯を撒くと、ばっと飛びついて来るスズメたち。

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