「パニッツァ全集 Ⅱ」を読む。

 先日、この著者の全集第一巻を読んだ。引き続きこの本を開いた。

 「パニッツァ全集 Ⅱ」 オスカル・パニッツァ著 種村季弘訳 筑摩書房 1991年8月25日初版第一刷

 この全集では、スイスに亡命後、パリにもどり、ミュンヘンに帰り、精神病棟に十六年間監禁され、1921年この世を去っていった作家の、ある意味、この現世で活躍していた時代、1893年に発表された第二短編集「ヴィジョン集」、それに四篇の作品が併せて収録されている。

 特段、私の方からこの作品集の解説は無用であろう。本の巻末に丁寧な<解題>と<解説>が第一巻同様付帯されているので、ぜひそれを読んでいただきたい。

 なぜだろう。こんな文章を書いたパニッツァは、2026年3月10日現在の私の眼から見れば、物語にならない物語を書き続けていたのではないか、そんなふうに思えてならない。なぜ物語として成立しないのだろうか。おそらくその原因の一端は、その当時の権力社会を全面否定するところから、やって来るのかもしれない。にもかかわらず、それでも何とかその時代の物語を構成しようという不可能性を追求したのではないだろうか。

 だから、読後、私には不思議な味がするのではなかろうか。すっかり秩序が崩れて、ガラクタになってしまった、ほとんど意味不明に近い言葉のがれきの中を、さまよい続けている気持がするのではないだろうか。

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