この詩集は1984年5月1日に発行されたもので、既に26年の年月が経っています。
作品は1982年5月から1983年12月までに製作された37篇の詩で構成されています。
今回はその中から「固メラレタモノ」という作品をご紹介します。
固メラレタモノ
味噌汁ガ
固メラレテイル現状ガ
恐シクハナイカ
カツテ汁デアッタモノガ
固メラレ
味噌色ノコンクリイトニナッテ凝固シタ
コノ凝固物ノ中デハ
葱ヤ若布ガ化石ノヨウニ埋ッテイルノダガ
ソレラハコンクリイトノ表面ニマデハミ出シ
フウフウ息ヲ吹キカケルタビ
震エテイルノダ
一椀ノ味噌汁ガ
カクノゴトク固メラレタノダカラ
ソレハ我等ノ渇キヲ二度ト癒サナイデアロウ
汁ガ固メラレタノダカラ
我等ノ渇キガ二度ト癒サレナイノダカラ
日ニ日ニ我等ノ胆汁モマタ乾涸ビテイク
コウシテ衣服ヲ脱イデ 素裸トナリ
コチコチニ乾涸ビキッテ
オマエ達ハ味噌色ノコンクリイトニナルノダ
内部ニハ骨ヲ化石ノヨウニ詰メ込ンデ
表面ノ穴カラハ
絡マリアッタ筋ヤ管ヲブラサゲテ
アアコンナニモ固メラレテシマッタ現状ガ
ホントウニ恐シクハナイカ
寒夜ノ卓袱台ヲ囲ンデ
箸ヲ持ッタコンクリイトガ車座トナリ
夜明ケマデ激シク皿ヲタタクデアロウ
筋ト管ハ愈々全身ニ絡ミツキ
コンクリイトノ唇カラ
固メラレタ一椀ノ味噌汁ヲ
チュウチュウ啜リナガラ
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