講演「失われていた暴力被害」、主催Freedom

 ボクは講演会に足を運んだことはほとんどない。たまたまフェイスブックで知り合った倉田めばさんの「薬物依存からの回復」(発行Freedom、2013年3月11日第2刷)を読み、この本の感想を以前「芦屋芸術」のブログに書いた。この本の主題は「魂の救済」であり、ただそれだけがアルファでありオメガである、ボクはそう理解したのだった。

 先週の土曜日、雨の中、ボクはFreedomが主催する講演会に足を運んだ。

 講師の上岡陽江はダルク女性ハウス代表という肩書である。ダルクというのは先程の倉田さんの本から引用すれば、「薬物依存症専門のリハビリテーション・センターです。」(同書1頁)。上岡講師もかつて摂食障害でアルコール依存症であり、そこから回復すると同時に自身の経験をもとに依存症などの女性をサポートする「ダルク女性ハウス」を1991年に設立した。

 この講演会に参加している女性の中には薬物依存症などで刑務所と娑婆とを行ったり来たり往復していた人たちもいる。今回のテーマは<バレナケレバイイ>、つまり刑務所の看守と女性受刑者との関係を現実に即して展開したものだ。言い換えれば、看守にさえバレナケレバイイという女性受刑者の思いの二重性、心の分裂をわかりやすく分析したものだった。

 所謂「世間」では口を閉ざすであろう悲しい過去をここに参加した女性たちはほとんどユーモアさえ交えて語りあっている姿に、ボクは感動した。一言でいえば、この自己中心的世界でこんなにもおたがいを認めあい、尊重し、愛しあう世界。この講演会の片隅にじっと座って傾聴していたボクの脳裏にパウロのこんな言葉が反響していた、「もし愛がなければ、いっさいは無益である。」(コリント人への第一の手紙13、3)

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