「刻印」 山下徹著 一九七二年四月十七日発行 ガリ版20部
二〇二〇年二月二日 改稿
この作品は、ボクが二十二歳の時に書いたもので、ボクのワイフ、えっちゃんがガリ版で本にしてくれた。えっちゃんとは、その前年の十一月から昼間でも陽がささない三畳一間のアパートで暮らし始めて、その時、ボクの作った作品を働きながら本にしてくれた。友人などに配ったが、一冊だけは手もとに残っていた。作品をほめてくれたのは、えっちゃんだけだった。ボクはといえば、職業を転々としていて、ほとんど彼女の収入で生きていた。
この六月くらいに「芦屋芸術十号」を出版するに当たって、どうしてもこの作品を改稿したい、そして芦屋芸術に発表したい、そんな思いを強くした。まだ、えっちゃんがガリ版で本を作ってくれた作品が手もとに数作ある。これももう一度この歳になって改稿するつもりでいる。我が家のダイニングルームの東窓の飾り棚に六年近い前に亡くなったえっちゃんの骨と遺影が今も飾られているが、その前にボクの初期作品集を捧げたい。
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