「閑吟集」を読む。

 以前、といってもずいぶん昔の話だが、この本を買って読んだ記憶がある。途中まで読んで投げ出した。 

 本棚を覗いて、読み残してしまった、最近、そんな思いがした。おそらく半年近く前に再読した「宗長日記」が影響しているのだろうか。冥途の土産にこの本を開いた。

 新訂「閑吟集」 浅野建二校注 岩波文庫 1989年10月16日第一刷

 今回は丁寧に読み終えた。面白い本だった。連歌師宗長が編集したと言われるくらい、同時代で、富士山の見える庵で暮らしていた世捨て人が編纂した文献だった。ひょっとしたらほんとうに宗長が編集したのだ、そう言えなくもないくらいこの時代の言葉遊びを本格的に伝えている。

 特段、私のような一般読者が付け加えるようなことは何もない。戦国時代末期の小唄を中心に連歌風に編纂した本だった。それが夫婦にせよ、一夜限りの遊女にせよ、男色・稚児愛にせよ、いずれにせよ、性愛の世界の別離・無常、刹那・耽溺の味わいを深く静かに楽しむことが出来た。

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