いまから思えば、ほとんど心の奥底からほとばしりでた叫びに近い文章ではなかったか。私が知っていた彼。私より七八歳年長だった彼。もう六十年近い昔の話だが。その彼が遺した文章、まだ十代半ばだった私はそれをむさぼるように読んだ。
昨夜、本棚を整理していると、その文章の断片をメモしていた私の古い雑記帳がすっかり薄茶色に色あせて出て来た。いずれすべてをご紹介したい、私はそう思っている。ただ走り書きだった文章をキチンと編集・校正するまでに、とりあえずその中から三行だけ以下に掲げておこう。「あなた以上にあなたを知っているもの」という表題の下に書かれていた百行の中の三行の言葉だった。
あなたが知っている以上に
神はあなたを知っている だから ここからあなたの苦しみがやって来た
わたしはこんなにも無知だったと……無知ゆえに すべてをやってしまったと……
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