七年の後に その21

 昨夜、雪が降ったらしい。私が起床した午前三時頃には既に止んでいたが、ガラス戸を覗くと、部屋から漏れる明かりや街灯や門灯に浮かんで、我が家のウッドデッキや門前を走るアスファルトの路面やらあちらこちらウッスラ雪に覆われていた。

 私が小さかった頃に比べて、この地方はメッキリ雪が少なくなっている。現在の子供達には雪は珍しい氷菓子に違いない、けっして甘くはないのだが。六甲山もメッタに白い帽子を被らなくなった。

 昨夜は風も強く吹いたのだろう。庭に落ち葉がずいぶん撒き散らされている。朝の七時前、私は庭掃除を始めたが、明るくなった六甲山の上天に、十七夜の月が残っていた。

 うす青い西空に

 昨夜の立待月


*写真は、一月二十一日午前七時十分、雪のレースで飾った我が家の車を、スマホで私が撮った。

 この車には深い思い出がある。八年前の二月、亡妻悦子が電気自動車に乗りたい、そう言い出して、この車を買った。私は運転が出来ない。この車を彼女が運転して遠出もした。四月、私の両親の最後の墓参り。五月、愛犬ジャックを連れて最後の旅行、そして私たちの最後のゴルフ……短い間だったがふたりで精一杯楽しんだ。その年の七月、彼女は病に倒れた。

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