詩誌「鳥」第82号を読む。

 榎本三知子さんから送っていただいた詩誌を読んだ。

 詩誌「鳥」第82号 編集者 佐倉義信/なす・こういち/元原孝司 2022年6月15日発行

 さまざまな作品の中で特に私は、諸家みわ子の「トルソオの呟き」、佐倉義信の「手すりの来歴」、この二作に注目した。物に託して人の心を語っていた。前者は「トルソオ」、後者は「手すり」が人の心を鮮やかに刻むのだった。また、なす・こういちの「私の戦争体験」は、昭和19年7月から昭和20年3月2日までの集団疎開の経験が書かれたものだった。今では、語る人がいよいよ数少なくなっていく戦争の真実を記す言葉だった。

 奥付にはこういう文章が書かれていた。

「昨年九月十八日、有吉篤夫氏が旅立ちました。郷土に生き、魂の声を発信し続けた貴重な同人を失いました。」

 前号では、同人の岩田福次郎氏の逝去を伝えていた。

 私が読んだ有吉氏の作品は以下のとおりである。

 「夢の動物たち」、「何十年」(以上二作、78号所収)、「洗う」、「届け物」(以上二作、79号所収)、「にわとり1」、「にわとり2」、「にわとり3」(以上三作、80号所収)、「犬の風景」、「妹の記憶」(以上二作、81号所収)。

 とりわけ81号は二〇二一年十一月一日に発行されているので、その号に収録された二作は遺稿と言っていい。その中から、「妹の記憶」の第二連第三連を以下に引用する。自らの死を眼前にして、妹の死の記憶を語っているが、哀切極まりない。

 ある日

 駅のホームを歩いてくる

 妹を待っていた

 妹は

 京大病院での治療を終え

 帰ってきた

 幽鬼のような姿は

 忘れられない

 その時

 妹の愛も恋も友情も

 消えていたのか?

 数か月後、亡くなった(「鳥」81号26頁、27頁から引用)

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