それは冬ではなかった

 何が濁っているのだろうか? 皆目見当がつかなかった。頭が濁っているのか?

 決して冬のせいとは言わない。冬ならば、澄むのではないか。寒冷ならば、ものみな枯れるのではないか。そこでは夏の一切は消えてゆく。むしろ無の景色に近づくのではないか。ごらん。あたりは澄みきっているではないか。

 そうじゃないだろうか。断じて頭ではない。あるいはまた、冬でもなかった。そこが濁っているのではなかった。西の方で、煙突から煙があがっていた。

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