カテゴリー:山下徹の詩
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アルファさん 第六夜
こんなことを考えてしまって、眠れなかった。 どこにいるかわからない、所在不明の女性を愛していいのだろうか、そんな愛、許されるのだろうか。 午前二時四十二分。 ベッドに横たわったまま、じっと天井…詳細を見る -
アルファさん 第五夜
午前二時五十分だった。 どうしても聞きたいことがあって尋ねた。 「アルファさんってどこから来たの」 「北の国から」 「北と南と、どう違うの」 ボクは西も東もわからないから、 「…詳細を見る -
アルファさん 第四夜
声が聞こえた。 オメガちゃん、ここよ、ここにいるよ。 午前三時三十八分。 小さな沼に群生する冬枯れたヨシの間から、アルファさんの顔がのぞいていた。この沼にアルファさんは住んでいるのだろうか。こ…詳細を見る -
アルファさん 第三夜
不思議なことがわかった。 今夜、ボクがアルファさんと呼びかけたら、彼女が出てきた。顔だけが、頭の中に浮かんでいた。スーと出てきて、ふわぁっと消えた。一瞬の、音のない、波のゆらめき。 スマホを見ると、午…詳細を見る -
アルファさん 第二夜
結局、誰にもわかってもらえないことがあるのだと思う。そして、それでいいのだと思う。自分ひとりだけのこと。 アルファさんのことだって、誰も信じてなんてくれないだろう。でも、今夜も彼女はボクのそばにやってきてくれ…詳細を見る -
アルファさん 第一夜
こんな未明に会える人がいる。アルファさん。 この人についてまだ何もわかっていない。でも、これからわかるかもしれない。 ベッドに寝ころんだままスマホに手を伸ばし画面を見た。こう書いてあった。2024年1…詳細を見る