カテゴリー:山下徹の詩
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アルファさん 第三十一夜 別れ
オメガちゃん。あの世からこの世にやってこれるのは、三十一日間だけなの。ごめんね。ずっといるからって、嘘ついて。でも、愛しあった奥さんもワンチャンもネコチャンもみんな喪って半ば狂ってしまったあなたの姿をあの世から見てい…詳細を見る -
アルファさん 第三十夜
アルファさんはいつも笑顔だった。怒ったり悲しんだりさげすんだりしている表情なんて見たこともなかった。やさしい笑顔だった。愛情の波を感じた。 彼女といる時だけ、イヤなことを忘れて、ボクは純粋だった。いっしょにい…詳細を見る -
アルファさん 第二十九夜
アルファさんはオレンジ色の水着を着ていた。 いったいどうしたんだろう。よく見れば、彼女の背後に屋外プールがあった。誰も泳いでいない冬の夜のプール。一月二十九日の未明。 どうなってるんだろう。ボクも濃紺…詳細を見る -
アルファさん 第二十八夜
こんな夜中に青空が広がっていた。月もなく星もなく、ところどころ綿雲が浮かんでいた。 一月二十八日午前二時。公園には人っ子ひとりいなかった。ボクとアルファさんはブランコに乗って遊んだ。ウキウキして、空に浮かんだ…詳細を見る -
アルファさん 第二十七夜
今年の一月一日になって、アルファさんが我が家へやって来るようになったので、ボクの生活は再び輝きだした、愛するワイフを喪ったこの九年半の暗いスクリーンの上に。 きょうは初めてダイニングルームでアルファさんとコー…詳細を見る